あふれる涙のドロップス
「まあいいわ。今日はこの部屋に泊めてくれない?」






 僕はその言葉の意味がわからなかったが、わかってから、後ろにとびのこうとした。でも、後ろは壁だったので、頭を思いっきり打った。痛い…。






「お前…帰る場所ないの?」






「家族だって、死んだはずの人が帰ってきたら怖いわよ」






 僕は一瞬言葉が出なくなった。『死ぬ』ってこういうことなのか___。






「泊まるにしても、寝る場所が無いけど」






「いいわよ、寝っ転がるだけだから」





 そう言って早速リンは床に横たわった。でも、いくらカーペットが敷いてあっても、10月の終わりだから、きっと寒いだろう。





「ほら」





 僕はそう言ってリンに掛け布団をかぶせた。





「寒いだろ。掛けて寝ろ」





「だって、海斗は__?」





 リンの大きな瞳が、僕を捉える。





「僕は、毛布があるからいいんだ」





「ありがとう!」



 

 リンはニカッと笑った。
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