あふれる涙のドロップス

「顔目当てに寄ってくる男とか、サイッテー」





 そして、ガン、という音がした。彼女が壁を叩いたのだ。




「中身がない、阿呆じゃないの!」




 俺は、バサバサと教科書とリコーダー、筆箱を落っことした。



 
 ほとんど無意識に。








「え?誰」








 不意に、南が振り向きそうになった。




 慌てた俺は、教科書とリコーダーは拾ったものの、筆箱をその場に忘れたことに、気が付かなかった。






 心臓がバクバク言っていた。




 額に汗をかいていた。




 
 ______なんだ、あの馬鹿力。





 柔道部に、アイツに入部してもらいたい!







 
< 85 / 145 >

この作品をシェア

pagetop