あふれる涙のドロップス
「顔目当てに寄ってくる男とか、サイッテー」
そして、ガン、という音がした。彼女が壁を叩いたのだ。
「中身がない、阿呆じゃないの!」
俺は、バサバサと教科書とリコーダー、筆箱を落っことした。
ほとんど無意識に。
「え?誰」
不意に、南が振り向きそうになった。
慌てた俺は、教科書とリコーダーは拾ったものの、筆箱をその場に忘れたことに、気が付かなかった。
心臓がバクバク言っていた。
額に汗をかいていた。
______なんだ、あの馬鹿力。
柔道部に、アイツに入部してもらいたい!