あふれる涙のドロップス
「で、あんた何部だっけ」
「柔道部」
「随分むさ苦しい部ね」
随分はっきり言う奴だ。
「いい部だぜ。冬には寒中水泳をして、夏は部員全員でキャンプ」
「それがむさ苦しいって言ってんのよ!」
果歩はぐしゃぐしゃに髪の毛をかき回すと、悩ましそうな顔をした。
「あんたやっぱり身体は動かしてるからスタイルはいいのよね。問題はコーディネートよ」
そう言うと、果歩は俺に、メモとペンを貸せと命令してきた。人使いの荒いやつだ。
「ええと、まずはコーディネート、っと。お腹すいた。なんか頂戴」
「太るぞ」
「うっさいわね。あたしは水泳部だから大丈夫!」
果歩はそうしてまんまと俺にケーキを買ってこさせた。