あふれる涙のドロップス

「じゃあ、まずは古着屋さんに行こ-!」





「俺は留守番しとくから」




「何いってんの、あんたも来るのよ」




 
 そう言うと果歩は、俺の首根っこをひっつかんで、ズルズルと古着屋まで連行した。





「いらっしゃいませー」





 店員の声に迎えられる。





 果歩は早速男の店員を掴まえてきて、そいつに言った。





「あの、この子に合うお洋服お願いします」





「かしこまりました」





 上品にその店員は頭を下げると、ヒュンと俺らの前から消えた。





「まるで風のような人ね……」





「あの人の趣味、信用して大丈夫なのか?」





 感心している果歩に、不安になった俺は訊いた。
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