あふれる涙のドロップス
「だーいじょーぶよー。あの人、すごくラフな格好していたけど、女性の目から見ると、素敵なのよ」
「そーか?」
俺には、さっきの店員の格好が、ボロ臭いとしか思えない。
色の薄くなって、膝の部分がほつれたジーンズ。グラフィックの入ったTシャツ。
そんなにいいのか?あーいう格好。
それを果歩に言うと、唖然とされた。
「隆……もう少しオシャレに敏感になったほうがいいわよ」
果歩のその顔を見たら、あまりにも自分が悪趣味な人間に思えてきた。
「お待たせいたしました」
戻ってきた店員は、腕に、着古したような七分丈のジーンズと、迷彩色のTシャツを腕にかけていた。
「ものすごく鍛えてきらっしゃるようですので、こんなものはいかがかと……」
「わあ、まるで自衛隊ね!」
果歩が無邪気にそう言ったが、俺はどうも乗り気でない。