あふれる涙のドロップス
「いやいや、どうしたも何も、あたしだって一応女子なんだから。洋服ぐらい見に来るよ」
「そうじゃなくて……こんな古着屋でいいのか?もっと流行の服とかあるだろ?」
「あたしはこっちがいいんだ」
七瀬はさらりと、でもきっぱりとした声で言った。
「前にも着ていた人がいるんだなあ、って思うと、愛着が湧くっていうか……。うまく言えないんだけど」
「なるほどな。で、立川は?」
「え、海斗!?なんで一緒にいることわかるの!」
いきなり七瀬の顔が真っ赤になった。完熟トマトみたい。
「だって、付き合ってるんだろ」
七瀬、付き合っていることにはスルー。
「かかか海斗なら、外の自動販売機のそばにいると思うよ!」
「お、じゃあちょっと話してきていい?……ごめん、彼氏とっちゃう感じで」
「かっ、彼氏!?いや、海斗とは付き合ってるけど……。ハッ、言っちゃったあ!」
「もともと言ってたし」
「え、いつ!?」
「お前が転校してきた日」
「ああっ、そうだった!馬鹿だあたし!」
一人で慌てふためく七瀬を置いて、俺は一度、外に出た。