テイク ラブ
触れたくて、伸ばしたくて…
「沙智…?どうしたんだよ」
いつも通り、北人の家でのんびりとしているあたし達。
結局あの時お互いに好きなのはわかったけど、うまく「付き合おう」なんて言えないあたし達はいまだに幼馴染止まり。
「っ…なんでもないよ」
今日は、今は北人の顔が見れない。
「何だよ、それ」
フイッと横を向いた北人に、ちょっぴり安心するあたし。
この頃のあたしは、確実に変な感情に押しつぶされてる。
北人の手に、頬に…触れたいと思うの。
こんな事を思うあたしって…おかしいの?
毎日顔を合わせていても、ドクドクとうるさい心臓が「北人に触れたい」と主張をしているような気さえするほどに。
「お前さ…」
そう言ってあたしの方に顔を傾けた北人にビクリと身体が跳ねた。
「あたし、か…帰るね!」
ギクシャクとロボットの様に固まりつつ、思いきって声を出したあたし。
「は…?」
「か、帰るね?宿題とか…溜まってるし」
あたしを見る北人は、目を細めている。
あ…。これ、昔からの癖だ。
北斗がこうする時って、いつも不機嫌になりそうなサイン。
やっぱり小さい頃から変わってないよ。