テイク ラブ
でも、これとあたしのこの変な気持ちは関係ないよ!
「だから、帰らせてもらいます」
きっぱりと言うと、ため息をついた北人が立ち上がる。
「わかった。すぐそこだけど送ってく」
スッとあたしの横を通り過ぎていく北人の手が、微かにあたしの手に触れた…。
「あ…ごめん」
トクンと早くなる心音に、やっぱり変な感情が溢れる。
もっと触れていたい、なんて…。
「俺、先に下降りてるな」
パタンと締まるドアが、寂しく感じさせる。
「なんでよ…」
片思いしてた頃は、こんな衝動に襲われなかったのに。
北人の触れた手がジンジンと熱くなる。
ギュッと握って、ゆっくり開いても熱さが治まることがない。
北人の、体温が恋しく感じる…。
「おい、聞いてんの?」
「……え?」
今何の話をしてたっけ…。
「っ…ごめん。聞いてなかった」
意識すると、北人しか見えない。
話しなんて…耳に入ってこないよ…。
「着いた」
たったちょっとの距離じゃ、話す事なんてあまりできない。