テイク ラブ
そう言って笑う北人の顔が、ひどく歪んで見えた。
「どこか別のところなんかに行かないでよ……っ」
きっとあたしは1人じゃ不安で、苦しくってダメだよ。
北人に傍にいてほしいの。
「姉貴が帰って来るんなら、俺に居場所なんてねえから」
「…あたしの家においでよ?」
北人が辛いなら、あたしが助けてあげる。
だから…離れていかないでよ。
「……お前、自分が何言ってるかわかってんの?」
驚いたように目を見開いて、あたしを見てきてる北人なんて気にしてられないよ。
「いいから!」
グイッと北人の手を引いて、あたしの家へと上げた。
「家隣なのに、こんな事しても大丈夫と思ってんのかよ……」
ぽつりと呟く北人の言葉が聞こえたけど、そんなの無視。
好きな人を助けたいと思うのは、あたしが変わってるからじゃないよ。
恋してる人、誰もが思う事でしょう?
詩緒さんが苦手なら、あたしが盾になってあげるから…。
「…なんか久しぶりに沙智の部屋に来た気がする」
大きな荷物を抱えた北人は、あたしの部屋を見回して言った。
「荷物置いて、ゆっくりしてていいから!」
いつも北人が言ってくれるみたいに言ってるあたし。
…恩返しくらいしないとね。
「え…、ああ。ありがとう」
キョトンとした北人の顔が、なんとなく可愛いなんて思った。
キッチンに行って、入っているものを出してみるあたし。