終わらない恋
私には14歳以前の記憶がない。理由は何かの事故だと言ってあまり教えてくれなかった。




お母さんもお父さんもみんな覚えてなかった。




そしてこのことは身内しか知らない秘密だ。



それでも私は今やっていけている。




人間って案外強いものみたいだしね。



「なな?電車来たよ。」




「あ、うん。今日は駅まで送ってくれてありがとね!」


「別にいいよ。あんまりぼーっとすんなよ!」



「うん。」



《ドアが閉まります。足元の…》



ダダダダダ………



――あ




ピ――――――――



「せーふ!………よっ。」




階段を猛ダッシュで駆け上がってきたのは芦澤だった。




「めっちゃすごい汗……どこから走って来たの?」



「学校。」



芦澤はシャツの袖で汗を拭った。


「なんで?次は五分後に来るんだよ?そんなに急いでいるの?」



「うっせー。」



芦澤は私の頭を軽く叩いて息を整えていた。
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