偽りと君


「いいのいいの あいつはこれからお見合いだから」


「へえ、お見合い…」



「水琴 ちょっと来い」


あいつは

機嫌悪さ全開の低い声であたしを呼ぶと
ホテルのなかに引きずり込んだ。


「え、ちょっと何よ」



無言でエレベーターに乗り込むと迷いなく最上階を押す。





< 24 / 49 >

この作品をシェア

pagetop