〜嵐 山〜
別 れ
息子が彼女を家に連れて来た。

2人で仲良く勉強している姿が微笑ましい。

・・・

4月。

京都での新生活。

サークルに入会。

5月。

新緑の季節。

「葵祭」。

友人も増え、A美との「文通」も順調。

7月。

梅雨明け。

「祇園祭」。

8月。

暑い夏。

「大文字五山送り火」。

10月。

爽やかな秋。

「時代祭」。

A美との文通は続く・・・

1年が過ぎる。

秋風と共にA美との間にもすきま風が。

・・・

そして別れ。

翌年2月。

寒い冬。

A美が卒業旅行で友人と京都に来る?

詳しい日時は知らない。

その日私は、サークル仲間と嵐山へ。

空はどんよりと重い。

粉雪が舞い始める。

渡月橋の上。

向こうから何人かの女性達。

その中に・・・

A美の姿が。

「あっ」。

言葉を失う。

A美もびっくりしている。

お互い何も言えない。

そのまますれ違う。

ふり返る。

遠ざかるベージュのコート。

白い粉雪が橋の欄干に積もってゆく。

・・・

卒業後、私は地元に戻らなかった。


・・・

5年後。

地元のデパートでA美と再会。

A美の薬指には結婚指輪が光る・・・


終わり
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