君と歩く未知
 ふと、我に返った。
そこにはもう男たちの姿はない。
男たちに殴られ、汚されたアタシはしばらくの間、意識を失っていたようだった。
アタシの体はいつまでも震え続ける。
どうしたらいいのかわからなくって、とりあえずお母さんに電話をしようとした。
でも、手先も震えて上手くボタンが押せない。
アタシは長い時間をかけてボタンを押し、電話をかけた。
「もしもし?あー、ごめんね弥生、ちょっと今日は帰るの遅くなるかも。生徒指導がさー…」
お母さんは何も知らずに喋る。
今日はお母さんが勤める高校、忙しいんだね…
とりあえず電話をかけたけど、アタシは何て言ったら良いのかわからない。
でも、心配はかけちゃいけないって思ったんだ…
「…ああ、そうなの。…わかった、気を付けて帰って来てね」
アタシはそう言って一方的に電話を切った。
 もうダメだ。
早くここから立ち去らなきゃ。
こんなところにいたら危ないもん。
だけど、無理。
ここから立ち上がる気力さえ湧かない。
カズくんに会いたい…
カズくんに抱き締めて欲しい…
でも「汚れた女」だと思われたくない…
イヤ、レイプに合った体でカズくんに近付けない…
アタシは途方に暮れて暗い倉庫の中に座り込んでいた。
…その時、アタシのケータイが鳴り響いた。
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