君と歩く未知
 ぱっとケータイを見ると、美和ちゃんからの電話だった。
アタシは急いで電話に出た。
「…もしもし」
「もしもしー?聞こえないよー?どーしたのさ、元気ないじゃん!また和哉とケンカしたのー?」
美和ちゃんの明るくて元気な声。
アタシがホッとした拍子に、我慢の糸が切れた。
「…美和ちゃん…」
アタシは思わず泣き出してしまった。
そんなアタシを心配する美和ちゃん。
アタシは、誰にもこのことを話さないつもりだった。
誰にも言わず、アタシの胸にだけしまっておこうと思ってた。
でも、アタシは美和ちゃんに全てを打ち明けてしまった。
なんでだろう?
これが、友情なのかな…?
 アタシの話を黙って聞いていた美和ちゃんは突然大声で言った。
「駅まで頑張って歩いて!今すぐ行くから!」
そう言って切れた電話。
アタシは重い体で駅までの道を歩き始めた。
もう、どうしたら良いのかわからない。
美和ちゃんだけが頼りだよ。
美和ちゃん、困らせちゃってごめんね。
でも、美和ちゃんにしか相談できない。
美和ちゃん…
美和ちゃん…
アタシはぼんやりした頭でそんなことを考えながら駅まで歩いた。
< 103 / 202 >

この作品をシェア

pagetop