君と歩く未知

　「じゃあ、今日は家から出ちゃダメだよ？何かあったらすぐに電話して、アタシすぐに来てあげるから…」
美和ちゃんはアタシを自宅まで送り届けて、そう言った。
アタシは家に帰ってホッとして、少しだけ気持ちが楽になっていた。
だから、美和ちゃんに少し笑顔で手を振ることができた。
　アタシは自分の部屋に入る。
お母さんは仕事で留守。
なんだか独りぼっちが怖くって、部屋中の窓の鍵を閉めた。
そして制服のポケットからケータイを取り出して見た。
すると、そこにはカズくんからのメールが入っていた。
＜朝寝坊かー？
美術室の準備はできたから、急がなくって良いよ☆＞
そっか…今日は文化祭だもんね。
カズくん、朝早くから準備していたんだね。
でもごめんね。
今日はアタシ、学校には行けないよ。
だって、電車にさえ乗れないんだもん。
カズくんさえ怖がってしまうかも知れないんだもん。
ごめんね…
アタシは返信もする気になれず、ケータイを置いた。
そして、ベッドに飛び込み、布団にくるまって泣いた。
いつのまにかアタシは深い眠りに落ちていた。