君と歩く未知

　家に帰ってすぐ、アタシはまた吐いてしまった。
これが、つわりっていうんだ…
それからアタシは自分の部屋入り、すぐにベッドに飛び込んだ。
妙に眠たくって仕方ないんだ…
　アタシが目を覚ましたのはそれからずいぶん時間が経ってからだった。
アタシは焦って部屋を片付ける。
カズくんに汚い部屋を見せたくないもん。
でも、アタシが片付けている途中にカズくんはやって来てしまった。
　「ごめんねっ！わざわざ来てもらっちゃって」
そう言ってアタシはカズくんを部屋に招き入れる…
胸はドキドキして弾けてしまいそうだ。
「んで、何の用？」
カズくんとアタシは並んでベッドに腰掛けた。
カズくんは、無邪気ないつもどおりの笑顔で、アタシに尋ねる。
「…あ！コーヒーでも入れて来るねっ！」
アタシはそう言って立ち上がった。
でも、カズくんに手首を掴まれてしまった。
アタシは不安で仕方がなくなってしまった。
「なぁ、弥生、話って何？気になって仕方ねぇんだけど」
アタシはカズくんからいったん目をそらして、ベッドに座りなおした。
そして、カズくんの目を見つめながらゆっくり話し始めた。
「…あのね、落ち着いて聞いて欲しいんだけど…」
カズくんはいつになく真剣な顔になってアタシを心配そうに見つめる。
「あのね、アタシ今日一日ずっと吐き気や頭痛がしてたんだ…それでね、妊娠してるんじゃないかって少し心配になって妊娠検査薬で調べたの…」
カズくんの目線が一瞬アタシの目から離れたのがわかった。
アタシは怖くなって、この場から逃げ出したくなってしまった。
だけど、もうどこにも逃げられない。
この現実からは…どうやっても逃げられない。
「そしたら…陽性だった…アタシ、妊娠しちゃったの。レイプから二週間も経ってからカズくんと一つになったから…きっとこの赤ちゃんは、カズくんの子だと思うの…」
アタシがそこまで言うとカズくんはアタシから目をそらして、うつむいてしまった。
アタシはどうすれば良いのかわからずに、ずっとそんなカズくんを見つめていた。