君と歩く未知
 アタシは夕日が差し込む部屋の中、カズくんがやって来るのを待った。
キッチンにはコーヒーの準備も出来ている。
アタシは一人寂しく自分の部屋のベッドに腰掛けてカズくんを待った。
アタシは窓の外に目をやった。
この間、赤ちゃんを堕すってカズくんに伝えた日もこんな感じだったな…
こんな夕日の中、カズくんを待ったっけ…
でもあの時は今みたいに寂しくなかった。
赤ちゃんがいてくれたから…アタシはお母さんなんだからちゃんとしなきゃって思えたからかな。
でも、今はあの日のアタシの面影さえない。
情けないね。
こんなので大丈夫なのかな…
アタシはこれからカズくんがいない毎日を生きて行けるのかな…
 アタシがボーっとしていると玄関のチャイムが鳴った。
アタシは慌てて玄関に駆けて行った。

 どうしてあの日アタシは、カズくんのいない世界で生きていく覚悟をしてしまったんだろう。
それはたやすいことではなかったのに…
どうしてそれに気が付けなかったんだろう。
何年も経った今も、カズくんを忘れられていないのに。
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