君と歩く未知
 ねぇ、カズくん。
離れたくなかった…
カズくんの後を追って行きたかった。
 だって、カズくんのことを本気で愛していたんだもん。
好きで好きで狂おしいくらい好きなんだもん。
 お父さんの死によって心に深い傷を負ったアタシを助けてくれたのはカズくんだったね。
あの頃は自分の存在価値がわからなくて、本当に苦しかったんだ。
死んでもいいや…って思ってた…
だけど、カズくんが生きる意味をアタシに教えてくれたね。
笑うこと、楽しく絵を書くこと、人を愛すること…
そんなアタシの生きる意味はカズくんがアタシにくれた宝物だよ。
一生忘れないよ。
 アタシはこれからカズくんのいない未知を歩んで行くことになるけど、きっとカズくん以上に大切な人には出会えないって思うの。
何でかな…?
理由はないけど、なぜかわかっちゃうんだ。
きっと、アタシはこの先たくさんの素晴らしい人に出会うと思う。
でも、カズくん以上に素晴らしい人はいない気がする。
イヤ、きっとアタシがカズくん以上に他の人を愛せないと思うから。
 だから、もう運命なんかじゃなくっていい。
偶然でも構わないから。
どこかでもう一度カズくんに出会える日をアタシは待ちわびているよ。
遠い未来でも良い。
カズくんが結婚したって良い。
アタシは一生一人身で年老いても良い。
どこかで繋がっていたいって思うの。
それは悲しくて愚かなことかな…?
そんなことないよね、それがアタシの望む未来だもの。
 だから、アタシ、待ってるよ。
未来でカズくんのこと待ってるね。
その日まで、さようなら。
元気でいてね。
ずっとずっと…カズくんのこと愛してる。
ずっとずっと…真っ直ぐにまだ知らない未知を歩いて行くよ。
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