君と歩く未知
 そんな悲しく腐った高校生活が三ヶ月過ぎた頃だった。
じんわりと汗のにじむ、ジトジトした七月がやってきた。
授業を終え、美術部の活動場所の美術室へと行った。
週に一回しか美術部は活動しないけど、アタシは毎日ここで絵を描く。
息の詰まる学校生活だけど、ここにはアタシの居場所がある。
美術部は過疎化が進み、今では総勢六人。
今年入部したのは、アタシ一人だけ。
五人男女の先輩は写真が専門で、写真を撮るためにいつも外で活動している。
オリエンテーションで見たような、いかにも美術部らしい絵を描いている人は誰一人いない。
いっそ五人で「写真部」とか「カメラ同好会」とか作ってくれたらいいのに。
美術室の後ろに小さな部屋があって、アタシはいつもそこで絵を描いている。
アタシはその部屋一面に青いビニールシートを敷き詰めて、絵の具を撒き散らしながら描く。
アタシは、綺麗な風景画とかじゃなくって他人には理解されにくいような絵を描く。
ぐちゃぐちゃに暗い色で塗ったり、鮮やかないろで塗ったり…その日も昨日のうちに全画面を赤で塗りつぶした絵の具の上に、黄色で小さな渦をたくさん描いていた。
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