君と歩く未知
 アタシは一人ベランダに出た。
下には直紀くんの大きな車が止まっている。
相変わらず仲良しの直紀くんと美和ちゃん、そしてあれからまた付き合い始めた竜平くんとサチが車の中から出てきた。
直紀くんはカズくんと肩を組んで何かを話している。
本気で殴り合いのケンカするくらいだもん。
やっぱり本当に仲良しなんだなぁ…
「弥生ー!元気かー!?」
直紀くんはアタシに向かって叫んだ。
「やーよーいー!」
美和ちゃんとサチはアタシに向かって大きく手を振っている。
アタシは手を振り返した。
「元気よー!」
アタシはそう叫んで笑った。
 幸せだ。
こんなに優しくて温かい心を持ったみんなに囲まれて、アタシは幸せだ。
アタシはお父さんを亡くした頃、自分は世界一不幸だって思っていた。
でも、そんなことなかったね。
みんながアタシに幸せを分けてくれたから。
アタシは今こんなにも幸せ。
だから、今度はアタシが多くの人に幸せを与えてあげなくちゃ。
 アタシはお腹に手を当てた。
あなたも幸せにしてあげるからね…
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