君と歩く未知
 アタシとカズくんは二人で階段に座り込んだ。
アタシはサラサラとした砂浜に裸足の足をぶらつかせて、余裕のある素振りをし続けた。
アタシはゆっくり口を開いてた。
「あのね、一年前の丁度今ごろね…アタシのお父さんが自殺したの」
アタシはそこまで話してから、深く深呼吸をした。
カズくんはそんなアタシを見て、
「また今度にする?」
と言ってくれた。
アタシは首を横に振って、口を開いた。
「その、自殺は…アタシのせいなの」
カズくんは何も言わず、電車に乗っていた時と同じように目を閉じていた。
アタシはただ話し続けるしかなかった。
「お父さんが、自殺した日、お父さんとお母さんがケンカをしたの。…その時に、お父さんがお母さんの頭を…白い飾りもののお皿で…殴ったの…」
アタシは自分でも声が震えているのがよくわかった。
――あの日の光景がフラッシュバックする…。
アタシの肩が震え始めた。
とてつもない寒気に襲われそうになった。
その時、カズくんがアタシの手を握ってくれた。
カズくんはいつもよりたっぷりと水分を含んだ瞳でアタシを見つめた。
アタシはゆっくり、落ち着いて記憶を辿った。
今なら、きっと大丈夫…。
隣にはカズくんがいてくれるもん。
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