君と歩く未知
 それから、カズくんはアタシにキスをした。
最初のキスとは全く違う。
強く…深く、深く。
まるで、群青の色をした深い海の底に、二人で沈んで行くようだった。
 
 あぁ、イヤだ。
カズくんがどこかに行ってしまいそうだ。
アタシは…もう二度と、大切な人を失いたくない。
もう二度と、独りになんてなりたくないんだよ…。

 アタシはキスの合間に
「カズくん…」
って呼んでみた。
カズくんはいったんアタシの唇から唇を離してしっかりとした口調で言った。
「弥生、大丈夫。オレは、絶対に弥生から離れないよ」
アタシは嬉しくて仕方なくて、新しい涙を流した。
暖かくって、優しい、嬉し涙。
そして、アタシたちはもう一度目を閉じた。

唇がもう一度重なったとき、
アタシたちの心も一つに重なった気がした。
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