君と歩く未知
 「アタシ、良い案が浮かんだ…」
そう言ってアタシは画面に近付いた。
アタシはその光景を一生懸命カズくんに説明しようとした。
この頭の中から消えてしまう前に…
「あのね…ここからこの辺りまですっごく深い青なの。だけど、こっちの方には太陽の光が降り注いでいて、キラキラしてるの。…あぁ、わかった、これは海の中なんだ…。そうだ!この下の方は群青なの…あの日見たじゃない、ほら、あの海の色だよ。群青の…」
アタシはそう言ってニッコリしながらカズくんの方を振り向いた。
「完璧に自分の世界だな…」
カズくんはそんな無邪気なアタシを見て少し笑った。
 そしてアタシは、いらなくなったプリントの裏に大体の構図を書いて説明して見せた。
するとカズくんはやっとわかってくれたようで深く頷いた。
「やっとわかった。すっごく良い構図じゃん。これ描こうよ、二人で」

 カズくんはそう言ってニッコリ笑ってくれたよね。
アタシは自分自身が認められたようですっごく嬉しかったんだよ。
いつまでも自分に自信が持てなかったアタシを勇気付けてくれた気がした。
そんなのただの思い込みかもしれないけどさ。
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