君と歩く未知
 「弥生も自己紹介してやってくれないかな」
カズくんにそう言われてアタシは頬を真っ赤にした。
どうしよう、なんて言えば良いんだろう…
アタシの胸の鼓動は次第に早くなっていった。
口を金魚みたいにパクパクさせているとカズくんが言った。
「大丈夫、こいつら見た目ほど怖いヤツじゃねぇから」
そんなことに怖がっているわけじゃないの。
ただ、カズくん以外の人と話すのが久しぶりで…
人と話す勇気がないの。
でも、何か言わなくっちゃ…
「…えと、あの、カズくんの彼女の…小林 弥生です…えっと…よろしくお願いします…」
アタシがそう言うと美和ちゃんが「拍手ー!」と言って拍手した。
そうすると直紀くんと竜平くんも手を叩いてアタシに話しかけてくれた。
「なになに?!弥生ちゃんってゆーの?清楚!お嬢!可愛い!…それに比べてうちの美和はどー見てもヤンキー…」
そう言って涙を拭うふりをしたのは直紀くん。
「なにそれ!自分から告ってきたくせにー!」
そう言って美和ちゃんは直紀くんに飛びついた。
それに驚きを隠せないアタシ…
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