君と歩く未知
 イマイチ状況を飲み込めないでいると、竜平くんが口を挟んだ。
「こいつら付き合ってんだよ。…ベタベタしやがって、ウザいったらありゃしねぇよな」
竜平くんは場の空気が読める方だな、なんか助かる。
カズくんがアタシの方に寄って来て言った。
「な?悪いヤツらじゃねぇだろ?」
アタシはとりあえず首を縦に振るしかなかった。
「ねぇ、弥生ちゃん、これから仲良くしようねっ!アタシ、いっつもこいつらと一緒に行動してるからさ、女友達って少ないんだよねー!だから、弥生ちゃんと友達になれて超うれしー」
美和ちゃんはアタシに人なつっこい笑顔でベタベタとくっつく。
…ってゆーか、誰もあなたみたいなヤンキーと友達になるなんて言ってませんけど。
でもとりあえずアタシはニッコリ笑っておいた。
上手に付き合わなきゃ、カズくんの友達だもん。
「なぁ、飯でも食いに行かね?腹減ったー」
カズくんがそう提案するとみんなは賛成し、一緒にお昼ご飯を食べるはめになってしまった。
どうしてこんなヤンキーたちとアタシは一緒にご飯を食べなきゃなんないんだろう…

 だけど、今思い返せばアタシとみんなが仲良く慣れたのはカズくんのおかげだよね。
みんなと過ごした日々はすごく鮮やかで、色濃くって、きっと一生忘れられない。
カズくんがアタシとみんなを出会わせてくれなかったら、あんな楽しい日々を経験することなく平凡に毎日過ごしていたよね。

 出会えて良かった。
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