君と歩く未知
「やよい…」
お母さんのか細い声が、アタシを呼んだ。お母さんが目を覚ましたんだ。
「お母さん!大丈夫?今、救急車が来ているからね、すぐ病院で見てもらおうね」
お母さんは視線をあちこちに飛ばしてから尋ねた。
「…おとうさんは?」
アタシは、お母さんが安心するように、にっこり笑って言ってあげた。
「大丈夫だよ、もうここにはいないから。アタシが怒鳴ったの、そしたらすぐに外に出て行っちゃった。逃げたんだよ。…ねぇ、お母さん、あんな乱暴な人とは離婚して。あんな人と一緒でも、アタシたち幸せにはなれないよ」
お母さんはアタシの手を握って言ってくれた。
「…わかってる、わかれるわ。おかあさんと、やよい…ふたりで、きっとしあわせになろう。ごめんね、しんぱいかけたね…」
お母さんは途切れ途切れにアタシにそう言い聞かせた。
アタシはにっこり笑って頷いた。すると玄関のベルが鳴り響いた。
「あ、救急車!すっかり忘れてた」
そのベルの音は幸せの訪れなんだとアタシは思っていた。
やっと、アタシとお母さんが幸せになれる。今日からがアタシたちのスタートなんだと思っていた。
だけど、現実はあまりに残酷で…アタシがお父さんに浴びせた言葉のせいで、アタシとお母さんの人生が、未来が、大きく歪んでしまったんだ。
お母さんのか細い声が、アタシを呼んだ。お母さんが目を覚ましたんだ。
「お母さん!大丈夫?今、救急車が来ているからね、すぐ病院で見てもらおうね」
お母さんは視線をあちこちに飛ばしてから尋ねた。
「…おとうさんは?」
アタシは、お母さんが安心するように、にっこり笑って言ってあげた。
「大丈夫だよ、もうここにはいないから。アタシが怒鳴ったの、そしたらすぐに外に出て行っちゃった。逃げたんだよ。…ねぇ、お母さん、あんな乱暴な人とは離婚して。あんな人と一緒でも、アタシたち幸せにはなれないよ」
お母さんはアタシの手を握って言ってくれた。
「…わかってる、わかれるわ。おかあさんと、やよい…ふたりで、きっとしあわせになろう。ごめんね、しんぱいかけたね…」
お母さんは途切れ途切れにアタシにそう言い聞かせた。
アタシはにっこり笑って頷いた。すると玄関のベルが鳴り響いた。
「あ、救急車!すっかり忘れてた」
そのベルの音は幸せの訪れなんだとアタシは思っていた。
やっと、アタシとお母さんが幸せになれる。今日からがアタシたちのスタートなんだと思っていた。
だけど、現実はあまりに残酷で…アタシがお父さんに浴びせた言葉のせいで、アタシとお母さんの人生が、未来が、大きく歪んでしまったんだ。