雨の日に、会いましょう。
Rainnig
今日もシトシト、耳障りな音が窓を叩く。
時たま、ひゅうっと風と戯れる雨は、あたしをまた憂鬱にさせた。
「…梅雨なんて、本当最悪。」
ベッドのすぐ横にある窓から顔を覗かせて
あたしは深く溜め息をついた。
そして勢いよくカーテンを閉めると、再び布団へと潜り込む。
ぬくぬくとした布団の温かさに瞳を閉じて、雨音を避けるように耳を塞いだ。
…やだ、言わないで。
『別れよう、麗乃。』
…どうして?
『…ごめん。』
…何で?
『俺、他に―――…』
「よーしの!」
その掛け声と共にバタン!と開かれた部屋の扉。
そして引き剥がされた布団に顔を上げると見慣れたその人物。
「早く起きなさい!」
ママだ。
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