雨の日に、会いましょう。
本を戻しながら、適当にページをめくってみる。
だけどどうも心に止まるような、そんな本には出会えない。
そう簡単には見つからないけれど、今日は周りを見渡しても暇なのは一目瞭然だ。
どうしても、出会いたかった。
あたしをこの現実から逃がしてくれる、素敵な言葉に。
「すみません、」
ぼやっとページをめくっていたら突然背後から声を掛けられてあたしは慌てて本を閉じ、本棚へと戻す。
「はい!何か?」
「あの~、考古学はどこらへんに……あっ!」
シン、と静まる館内で
男の声が隅々まで響き渡る。
………?
そんな男の様子に
あたしは首を傾げた。
「…あ、あの…?」
「あ!すみません!さっき、あなたの駐車場に停めてた者です。」
…へ?
彼の言葉に、今朝の出来事が脳裏に過ぎる。