雨の日に、会いましょう。


もう一度ペコリと頭を下げた学生の後ろ姿を追い掛けてたあたしに
東さんが再び口を開く。


「彼も、考古学を勉強してるんですよ。」

「そうなんですか…。東さんも、学生さん、ですよね?」

「いや、僕は大学院で学んでるだけです。」

「大学院!?すごい、優秀なんですね!」


そんな、と謙虚に改まった彼はふとある事に気が付いた。



「…あれ、僕の名前…。」

その言葉に、つい名前で呼んでしまった事を思い出して

「あ、あの、カードを見て…。すみません!」

と、慌てて頭を深く下げた。



しばらくして、頭上から落ちてきた笑い声にあたしはゆっくりと顔を上げる。

「そんな、謝る事じゃないですよ!」


相当ツボにハマったのか東さんは目に涙を溜めてあたしを見つめていた。



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