雨の日に、会いましょう。
「はぁ……。」
燦々と晴れ渡る太陽を横目に、あたしは溜め息を落とす。
大窓から差し込む木漏れ日は、館内を明るく照らすけれど
今のあたしには邪魔以外の何者でもない。
あんなに嫌いだった雨が恋をした途端、好きな天気に変わる。
頭痛は相変わらず後を追ってくるけれど、薬さえ飲めばもう姿さえ見えなくなる。
雨の日は、雨の日だけは彼に会える。
東さんに、会えるんだ。
「…明日こそ、降りなさいよね。」
憎たらしい程晴れた空に愚痴をこぼしながら
あたしは本の整理を始めた。
自分の恋が、自分を再び傷つける事になるなんて
その時のあたしはまだ、気付いていなかった。