雨の日に、会いましょう。
いつの間にか降り出した夜の雨は
幸せだった東さんとの時間を洗い流してゆく。
だけどそれでよかったのかもしれない。
彼に奪われた幸せな未来を、東さんから捧げてもらおう、だなんて
傲慢すぎた話だ。
結局、彼はあたしを手放してはくれない。
傍に居ないくせに
未だにあたしを縛り付ける。
そして一生、ほどけない糸を絡ませて
あたしをまたあの日に還らせてゆくんだ。
もう、どんな声をしてたとか
どんな喋り方だったとか
思い出せないのに。
もう、気持ちは東さんだけで溢れそうなのに。
…どうしてなの?
どうして、あたしを引き止めるの?
お願い。
赦してなんてくれなくていい。
ただ、あたしに
もう一度だけ、幸せになる権利を。
自由を、下さい。