雨の日に、会いましょう。
一通りパソコンに入力をしたあたしは
膨大な量の真新しい本をキャリーに乗せて本棚へ向かう。
そして低い位置にある本を脚立で高い位置に移しながら、空いたスペースに新刊を埋めた。
なるべく読んでもらえるように、と一番取りやすい高さに新刊を並べる。
そんな時、脚立で高い位置にある本棚から一冊本を抜き取ると
バサ、と隣にあった小説が床に落ちてしまった。
…あ~もう。
溜め息混じりにそれを目で追うと、誰かの長い指先がその落ちた本を拾い上げた。
見覚えのあるその姿。
「本は大切に、ね。」
そのままその本をあたしに手渡してくれたのは
言うまでもない、
東さんだった。
チクリ、と古傷が疼き出す。
痛みは光の如く、あたしの体を支配していった。