雨の日に、会いましょう。
透明傘を開いて、少し離れた駐車場へと足を早める。
ポツポツと傘を叩く雨はすぐにパンプスまで滲んで、あたしを更に憂鬱にさせた。
こんな雨の日は、いつも彼を思い出す。
忘れるべき、そう自分に言い聞かせても
記憶に植え付けられた彼の面影は3年経った今もあたしを手放してはくれない。
…もう、忘れたいのに。
だから、雨は嫌いだ。
この頭痛の原因も
この胸の痛みも
全てはこの冷たい雨のせい。
水不足になったとしても地球がどうなろうと知ったこっちゃない。
とにかく
止んで欲しい。
泣くのは、人間だけで十分じゃない。
そんな事を考えながら駐車場に着いた時には
ジーパンの裾もパンプスもすっかり雨に濡れていた。