雨の日に、会いましょう。


「…ごめんなさい、あたし仕事があるんで…。」


…あたしは、再びあの日に呼び戻されてしまったの。

過去を捨てる決心をしたのに、あたしはまた
彼に囚われる事を選んでしまった。



だから、もう東さんとは今日が最後。

話す事も、共に笑う事も全て。



あたしは、諦めたのよ?




これ以上、あなたから幸せをもらう事は出来ないから。

だから―――…




「麗乃っ!」

彼の横を通り過ぎようとしたその時、力強い手があたしを引き止めた。


いや、正確には
あたしの名を呼ぶ、東さんの声が

あたしをその場から動けなくさせたのだ。




どうしようもなく

愛しい、その声が。




「僕じゃ、君の力にはなれないか?」

「…え――…?」


掴まれた手首が熱い。



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