雨の日に、会いましょう。
真っ直ぐな東さんの瞳がメガネ越しにあたしを捕らえた。
「君が、過去に何か傷を負ったのなら、それを僕が癒す事は出来ないのかな。」
東さんの瞳に、あたしの揺れる瞳が映った。
視界がぼやけるのは
きっと目頭に溜まった涙のせい。
ポタリ、と頬を伝った涙が、ようやく彼を鮮明にあたしに映した。
「抱える事が出来ない傷も、消えない痛みも、僕は全て受け止める。」
「東さ…。」
引き寄せられた腕に、あたしの体が東さんの胸の中へと収まった。
まるで、最初から彼の胸の中は、あたしの居場所であったかのように。
「君が…麗乃が、好きだから。僕は、麗乃の全てを受け止めたい。」
「………っ!」
それから、あたしは川が決壊したように彼の腕の中で涙をこぼした。