雨の日に、会いましょう。
―あれから3年。
彼と過ごした時間分、時は流れてしまった。
共通する思い出は
どんなに引き止めようとしても、既に後の祭で。
彼は、もう過去の人だとわかっているはずなのにあたしの心はあの日から一歩も動いてはいなかった。
…と言うよりも、そこから動いてしまえば
一瞬にして消え去ってしまうような脆い思い出に彼をはめてしまうのが怖いんだ。
どうして、あたしはこんなにも何かに恐れているのだろう。
彼を思い出に出来れば
きっと楽になる。
そんな事分かりきっているのに。
ぼけっとしたまま、通い慣れた道のりをただひたすら車を走らせる。
慣れてしまえば、感覚だけで辿り着けるのは
代わり映えのない日常にあまりにも順応してしまったから。
あたしはきっと、この雨の中で捜してるのかもしれない。
性懲りもなく、彼の欠片を。