好きと言えなくて
それからというもの西条さんは、社長と約束があるわけでもないのに、ときどき、店に顔を出した。
夕陽化成は、大手のプラスチックメーカー。そんな会社が、商店街の小さな金物店に営業に来ること自体、不思議に思っていたけれど、夕陽化成の社長とうちの社長が幼なじみらしい。
まぁ、それなら納得なんやけれど……西条さんは、なんで頻繁に店に来るようになったのか……。
しかも、社長がいないときを狙っているかのように……。もしかして、越智さん目当て?
「松山さん、おはようございます!」
年上の男性に狙われているとも知らずに、越智さんは、朝から明るい声で挨拶をしている。
「おはよう」
「おはようございます、松山さん、越智さん」
爽やかな声に振り返ると、噂をすれば影……である。
「おはようございます」
越智さんが、元気に挨拶をした。
「これから、この近くの会社で商談があるんですが……早く来過ぎて……」
「そうなんですか? お茶でも飲んでいかれます!?」
ちょっと! 越智さん! 勝手に誘わないの!
「お気持ちだけいただきます。ありがとうございます。では、また……」
ふたりで軽く会釈をして、西条さんを見送った。
「最近、よく見かけますね、あの人」
アンタ目当てやって! と、心の中でつっこんだ。
夕陽化成は、大手のプラスチックメーカー。そんな会社が、商店街の小さな金物店に営業に来ること自体、不思議に思っていたけれど、夕陽化成の社長とうちの社長が幼なじみらしい。
まぁ、それなら納得なんやけれど……西条さんは、なんで頻繁に店に来るようになったのか……。
しかも、社長がいないときを狙っているかのように……。もしかして、越智さん目当て?
「松山さん、おはようございます!」
年上の男性に狙われているとも知らずに、越智さんは、朝から明るい声で挨拶をしている。
「おはよう」
「おはようございます、松山さん、越智さん」
爽やかな声に振り返ると、噂をすれば影……である。
「おはようございます」
越智さんが、元気に挨拶をした。
「これから、この近くの会社で商談があるんですが……早く来過ぎて……」
「そうなんですか? お茶でも飲んでいかれます!?」
ちょっと! 越智さん! 勝手に誘わないの!
「お気持ちだけいただきます。ありがとうございます。では、また……」
ふたりで軽く会釈をして、西条さんを見送った。
「最近、よく見かけますね、あの人」
アンタ目当てやって! と、心の中でつっこんだ。