好きと言えなくて
「わ……私と……?」

「ええ」

西条さんは、白い歯を覗かせて爽やかに笑った。

「でも、西条さんくらい素敵な方なら、ヤキモチやく人がたくさんいるんじゃないですか?」

それに、越智さんが本命なんちゃうの? 若くて、かわいくて、オマケにボインチャン。

「葉子さん」

「はい?」

「葉子さん、一目惚れしたこと、ありますか?」

「一目惚れ?」

最近、どこかで聞いた。そのセリフ。
ああ、越智さんに質問されたな……。

「私は、二十八年生きてきて……初めてしました……」

西条さんの真っ直ぐな視線が、私の視線とぶつかった。

「葉子さんに、一目惚れしました」

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