好きと言えなくて
再び、一目惚れ
……は?
私に、一目惚れ?

「なにかの間違いじゃないですか?」

私の返事がおかしかったのか、西条さんは、くくく……と、笑いをこらえながら笑顔を見せた。

「間違いでは、ないですよ」

「でも私、お付き合いしている人がいるんです」

「結婚しているわけやないですよね?」

「……はい」

「それなら大丈夫です」

は? 大丈夫って、どういうこと? ぽかんと口をあけた。

「このエリアをうろついているんで、なにかあったら連絡下さい」

名刺を差し出された私は、黙ってそれを受け取った。

「ごちそうさまでした」

なんだか複雑な心境のまま、蕎麦屋を後にした。

「また、ごちそうさせて下さい」

「あの……私……」

『彼氏がいるので、困ります』
そう断ろうとしたとき、後ろから肩を叩かれ、ビクッとした。

「松山さん! そういうことだったんですね~」

越智さんと……その隣には飛び出しそうなくらい、目を見開いた正義の姿。

あちゃー!!

「たまたま偶然、会ってごちそうになっただけ」

私は、やましいこともないから、冷静に言った。

「……そういうおふたりこそ、いい雰囲気やないですか!?」

こらっ! 西条! いらんこと言うな!

「そうですか? じゃあ、付き合っちゃう?」

越智さんが調子に乗って正義の腕に抱きついた。今度は私が、飛び出しそうなくらい、目を見開いた。

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