好きと言えなくて
夕方になり、社長と宇和島さんが戻ってきた。

「お疲れ様です」

「これおみやげ。葉子ちゃん、うららちゃんも、お茶にしよか!?」

「お茶いれますね。ありがとうございます」

私は、社長からおみやげのたい焼きを受け取り、お茶の用意をした。

「お疲れ様です」

ナイスタイミングで、正義が配達から戻ってきた。

「これからお茶するから正義くんも座りや」

「はい。ありがとうございます……」

狭い事務所でみんながお茶できるのは、応接スペースしかなかった。長方形のテーブルを挟むように、ふたり掛けソファーがふたつ、背もたれのついた椅子がふたつあった。

私が人数分のお茶を用意して、応接スペースに持っていくと……ふたり掛けソファーに正義と越智さんが並んで座っているやんか!?

ど、どういうことやねん!? 正義! 目を泳がせてる場合やあらへんで!

「私、ふたり掛けソファーをひとりじめしていいんですか!?」

そう言いながら、ふたり掛けソファーのど真ん中に座る。

「ええよ。ほな、食べよか!?」

「社長、いただきます」

みんなで挨拶をしてからいただいた。
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