好きと言えなくて
今日も、店は私と越智さんだけしかいなかった。
正義は、遠くのエリアに配達に行く予定になっていたし、宇和島さんは休みで、社長は、商店街の寄り合い……。
朝から雨がしとしとと降り、私の心をさらにどんよりとさせた。せめて仕事が忙しければいいのに、今日はとても暇で、電話の一本も鳴らない。
『正義さんをおとす』
かわいくて、素直で、おまけにボインの十八歳。かわいくなくて、素直じゃなくて、貧乳の二十八歳と、どっちがいいか?
『ホンキでおとす』
ボインに迫られたら、理性なんか一瞬で吹っ飛ぶやろう。正義みたいに、私しかしらない坊やなら……年齢のわりに恋愛経験が豊富そうな越智さんからすれば、赤子の手をひねるようなもんやろう?
「ただいま」
社長の声が聞こえ、なんだかほっとする。雨は、相変わらず降り続き、傘をさしていても、徒歩で出かけていた社長の服を濡らしていた。
「お疲れ様です」
「お昼、うまいもん食べに行こか?」
そっと手渡したタオルを受け取り、濡れた服を拭きながら社長が言った。
正義は、遠くのエリアに配達に行く予定になっていたし、宇和島さんは休みで、社長は、商店街の寄り合い……。
朝から雨がしとしとと降り、私の心をさらにどんよりとさせた。せめて仕事が忙しければいいのに、今日はとても暇で、電話の一本も鳴らない。
『正義さんをおとす』
かわいくて、素直で、おまけにボインの十八歳。かわいくなくて、素直じゃなくて、貧乳の二十八歳と、どっちがいいか?
『ホンキでおとす』
ボインに迫られたら、理性なんか一瞬で吹っ飛ぶやろう。正義みたいに、私しかしらない坊やなら……年齢のわりに恋愛経験が豊富そうな越智さんからすれば、赤子の手をひねるようなもんやろう?
「ただいま」
社長の声が聞こえ、なんだかほっとする。雨は、相変わらず降り続き、傘をさしていても、徒歩で出かけていた社長の服を濡らしていた。
「お疲れ様です」
「お昼、うまいもん食べに行こか?」
そっと手渡したタオルを受け取り、濡れた服を拭きながら社長が言った。