好きと言えなくて
お昼になり、一時的に店を閉め、社長の運転で出かけた先は高級焼肉店!
正義と結ばれた翌日、
『焼き肉を食べられる仲になったんやから』と、鼻息荒く出かけたけれど、私たちには手が届かなくて、結局、牛丼屋さんに行った。
ある意味、思い出の焼肉店だ……。
「社長、いいんですか!? こんな高い店で食べさせてもらって……」
「葉子ちゃん、心配せんでええ。アンタらふたり食べさせたところで、店は傾けへんから」
「さすが社長! ゴチになりまーす!」
その口調……さすが十八歳の小娘やわ……。
「アンタらは、うちの金物店になくてはならん、大切な従業員やからな。辞められること思ったら安いもんやで」
社長は、私たちの顔を交互に覗きこんで、笑顔で言った。
越智さんはどう思ったかわからないけれど、私は社長の気遣いをうれしく思った。
さすが高級焼肉店だけあって、ランチで二千円。ランチはワンコインで済ませる私からすれば、最高級の贅沢やわ。
「ここの肉を、二千円で食べられるんやったら、かなり得やで」
……と、社長が言うだけあって、めちゃくちゃおいしかった。
「めちゃくちゃおいしかった! こんなおいしいお肉、初めて食べました」
越智さんは、素直に感想を口にした。
「そうか。葉子ちゃんの口には合ったか?」
「……とても、おいしかったです……」
社長に聞かれるまで言えない私。こんなんやから、正義に気持ちが伝わらないんやろうか?
正義と結ばれた翌日、
『焼き肉を食べられる仲になったんやから』と、鼻息荒く出かけたけれど、私たちには手が届かなくて、結局、牛丼屋さんに行った。
ある意味、思い出の焼肉店だ……。
「社長、いいんですか!? こんな高い店で食べさせてもらって……」
「葉子ちゃん、心配せんでええ。アンタらふたり食べさせたところで、店は傾けへんから」
「さすが社長! ゴチになりまーす!」
その口調……さすが十八歳の小娘やわ……。
「アンタらは、うちの金物店になくてはならん、大切な従業員やからな。辞められること思ったら安いもんやで」
社長は、私たちの顔を交互に覗きこんで、笑顔で言った。
越智さんはどう思ったかわからないけれど、私は社長の気遣いをうれしく思った。
さすが高級焼肉店だけあって、ランチで二千円。ランチはワンコインで済ませる私からすれば、最高級の贅沢やわ。
「ここの肉を、二千円で食べられるんやったら、かなり得やで」
……と、社長が言うだけあって、めちゃくちゃおいしかった。
「めちゃくちゃおいしかった! こんなおいしいお肉、初めて食べました」
越智さんは、素直に感想を口にした。
「そうか。葉子ちゃんの口には合ったか?」
「……とても、おいしかったです……」
社長に聞かれるまで言えない私。こんなんやから、正義に気持ちが伝わらないんやろうか?