好きと言えなくて
「あ……」

ま、正義っ!?

ギンガムチェックのシャツにデニム姿の正義に、みんなの視線が集まる。五歳年下の、私の彼氏だ。

「あ、すみません! コレ、どないしよ?」

予期せぬ出来事に目を泳がせる正義。とにかく、事態を収拾しなければ。

「せっかくなので、私がいただきます! 若葉、おめでとう!」

『独身女子がギラギラしながら狙っていたブーケを、通りすがりの私の彼氏がゲットしました』

……なんて、恥ずかしくて言えない。でも放置することもできずに、涼しい顔をして、正義からブーケを奪い取った。

「次は、葉子やね! 彼氏によろしく」

私の隣にいるのが、彼氏なんやけれど。
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