好きと言えなくて
「めっちゃよかったなぁ! 結婚式!」

爽やかな笑顔をみせる太くんに、いちいちドキドキさせられる。

高校時代に付き合っていたけれど、大学受験に集中したいから……と、振られた。告白してくれたのは太くんのほうやったのに、気がつけば私のほうがハマってた。

でも『好き』と言えないままやった。

「若葉、めっちゃ綺麗で……幸せそうやったなぁ」

ドキドキする気持ちを隠しながら、話をする。

「葉子ちゃんは、どう? 今、幸せ?」

「まぁ、ぼちぼち……」

ひと口、水を飲んで自分を落ち着かせた。

「オレ、葉子ちゃんと別れてから何人かの女の子と付き合ったんやけれど……」

太くんが、急に真顔になって私をみつめる。

「葉子ちゃん以上の子に、巡り逢わんかった」

「な! なにをおっしゃいますか!? 酔ってるんちゃう?」

なんとなく、この空気はあかんやろ……と思い、茶化してみた。

「いや、マジで」
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