好きと言えなくて
「それな、私やなくてちゃんと西条さんに話さなあかんよ」

「でも……そんなん言ったら捨てられそうで……。私、ホンマに好きなんです!」

アラ……。

「それやったら尚更、向き合わなあかんやろ? なにもうららちゃんひとりが悪いんとちゃうんやから……」

西条さん……大人に見えて、小娘のボインにおちるやなんて。しかも、避妊せんやなんて。株もガタ落ちやで。

「はい……ちゃんと話してみます……」

「もし、なんかあったら私に言いや!私が怒鳴りつけたるから!」

「はい……ありがとうございます!」

暗かったうららちゃんの顔が、みるみるうちに明るくなった。

「それにしても……西条さんがテクニシャンやとは! ふふっ!」

「ふふっ……。ところで、正義さんはどうなんですか?」

「あ? え? ま、正義?」

正義のことをつっこまれ、思わず頬を赤らめた。

「あ、噂をすれば影だ! お疲れ様です」

うららちゃんが席を立った。正義は、事務所の入口に突っ立っていた。

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