好きと言えなくて
元気がない
「よかった……てっきり、葉子さんかと」

「な! なんで私が西条さんと!?」

頬がカッと熱くなる。なんで私が西条さんと結婚せなあかんのよ!?

「だって、過去にちょっと……」

「あれは、蕎麦食べに行っただけやって言うたやろ?」

私が寿退社するときは、正義と結婚するときやで! 正義! しっかりしいや! と、心の中でつっこんだ。

「正義、どうかしてるわ」

「ごめん……」

正義は、大盛じゃない親子丼でさえ、箸が進んでいない。

「どないしたん?」

「え? あ……ううん。葉子さんが寿退社するんやなくて、よかった……」

そう言うと、やっと食べ始めた。

「正義」

「……なに?」

「なんか最近、元気ないような気がするんやけれど……」

「そ、そんなことないよ」

『そんなことない』とか言っているけれど、図星やな。完全に目が泳いでいる。

「ご飯食べたら、ドライブに行こう? バイクとばしたらスッキリするかもよ?」

正義のテンションをあげて今夜は……タップリかわいがってあげるからっ!

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