好きと言えなくて
私が太くんと……やり直したいって?
そんなん、思ってない……けれど……。
大人の色気を纏った、爽やかな太くんに一瞬、惹かれたのは確かやった。

「否定、せーへんの?」

正義らしくない強い口調に、イライラが増す。

「なに!? その言い方!? まるで、私が太くんとやり直してほしいような……」

「ちゃうわ! そっちが悪いんやん? 結婚式の後『疲れたから帰る』って言いながら、川之江さんとふたりっきりでさぁ! オレがあの場に行かんかったら、ラブホでも行くつもりやったんやろ?」

「はぁ!?」

私は、バタンと机を叩いて立ち上がった。

「正義にそんなこと言われるとは、思ってなかったわ!」

そして、机の上のボールペンやら帳簿やらを正義に投げつけた。
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