好きと言えなくて
なんて、連絡しよう?

メールの文章を、書いては消し、消しては書いて……を繰り返した。そして、公園にいること、『会いたい』のひと言をメールした。

公園のベンチに三角座りをしながら、ぼんやりとしていた。ランドセルを背負って下校途中の小学生たちが、通り過ぎてゆく……。

私も、あのくらいの歳の頃は、もっと素直やったかもしれん。いつからか、素直な気持ちを伝えられなくなって……相手を愛しく思えば、思うほど、伝えられなくて……。

「ちょっと、話ししただけやんか……それだけやのに……」

ひとり、ぶつぶつと呟いた。
なんで別れ話になってしもたんやろ?
……なんで……。

そんな私の前に、ペットボトルの水が差し出された。はっ……として、顔をあげた。

「葉子ちゃんから『会いたい』ってメールくれるやなんて……」

そこには、爽やかな笑顔の太くんがいた。
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