好きと言えなくて
「おまたせして、ごめんね」
十九時を過ぎてから、太くんが姿をみせた。優しく微笑んで私に手を差し伸べる。私は、戸惑いながらもその手をとった。
公園の脇に止められた、太くんの車。
「葉子ちゃん、今日はスカートやから。次は、バイクでデートしようね」
バイクデート……。正義の、心地よい背中を思い出した。
あ! あんなヤツ、もう知らん!
プルプルと頭を振った。
「どうしたん? 乗って?」
運転席から、太くんが呼びかけた。助手席のドアに手をかけたとき、グッと腕を引っ張られた。勢いよく、振り返る。
「どこに行くんや!?」
正義や……。私を心配して探しに来てくれたのかもしれん。
「正義には、関係ない!」
振り上げた拳は、簡単に下ろせない。正義は、まだ私に謝ってくれていないし。強い口調で引き離すと、運転席から太くんが出てきた。
「これから葉子ちゃんは、オレと出かけるんや」
「川之江さんと……」
「喜多くん、言うたやろ? オレが……葉子ちゃんを奪うって……?」
正義が、私の腕を離した。
ちょっと! 正義! なんで……離すの? このままやと私……太くんに奪われてしまうんやで!?
「さぁ、早く乗って!」
太くんは強引に、私を助手席に乗せた。
そして、すばやく運転席に戻ると、車を急発進させた。
十九時を過ぎてから、太くんが姿をみせた。優しく微笑んで私に手を差し伸べる。私は、戸惑いながらもその手をとった。
公園の脇に止められた、太くんの車。
「葉子ちゃん、今日はスカートやから。次は、バイクでデートしようね」
バイクデート……。正義の、心地よい背中を思い出した。
あ! あんなヤツ、もう知らん!
プルプルと頭を振った。
「どうしたん? 乗って?」
運転席から、太くんが呼びかけた。助手席のドアに手をかけたとき、グッと腕を引っ張られた。勢いよく、振り返る。
「どこに行くんや!?」
正義や……。私を心配して探しに来てくれたのかもしれん。
「正義には、関係ない!」
振り上げた拳は、簡単に下ろせない。正義は、まだ私に謝ってくれていないし。強い口調で引き離すと、運転席から太くんが出てきた。
「これから葉子ちゃんは、オレと出かけるんや」
「川之江さんと……」
「喜多くん、言うたやろ? オレが……葉子ちゃんを奪うって……?」
正義が、私の腕を離した。
ちょっと! 正義! なんで……離すの? このままやと私……太くんに奪われてしまうんやで!?
「さぁ、早く乗って!」
太くんは強引に、私を助手席に乗せた。
そして、すばやく運転席に戻ると、車を急発進させた。