幸せになっていいですか
「私は西田貿易の娘です。親不孝な娘です。私は高校卒業後、あの家を出ました。
 政略結婚が嫌で、家から逃げました。大学も行かず、就職も勝手に決めました。
 親に見つかり、帰るように言われましたが、帰りませんでした。帰らない代わりに
 マンションを与えられずっと住んでいます。母と兄とは連絡はとっていますが、
 父とは家出してから、会うことも話すこともしていませんでした。
 優志さんのことはご存じの通り、婚約者でした。でも今は何の気持ちもありません
 一哉さんのおかげでいい思い出になりました。
 先日、兄と再会し結婚の報告がやっとできたところです。父には電話で話をしました
 これが今の私です。一哉さんにとってつり合いが取れないかも知れません。
 ですが、一哉さんとの結婚のお許しをいただけませんでしょうか」

「真理さん。あなたも苦労したのね・・・政略結婚って親の勝手ですもんね」

「お母様・・」

「真理さん。あなたのこと、先日、お父様とお話しましたよ。」

「え・・父とですか」

「昔からのちょっと友人でしてね・・・あなたのお父さんは申し訳ないと言ってました。
 真理さんのことを・・・過去にしたことは自分が悪いとわかっていらっしゃる。
 私に娘でいいのか?って聞かれましたよ。あなたの娘さんをお嫁にもらえるなんて
 夢のようだと言っておきましたよ」

「真理さんのお父様って素敵でしょ。うちにも遊びに来たことあるのよ」

「え?そうなんですか?」

「ええ。私は大好きよ真理さんのお父様」

「おい。紗子」

「あら。やきもちやいた?」

「真理さんの前だろ」

「仲がいいんですね」

「ええ。とっても。でも・・一哉と真理さんには負けるかも」

「そんな・・・そんなことないです」

「真理さん。私達はあなたの過去なんて一切気にもしていない。一哉と幸せになってほしい。
 だが我が家は新藤財閥という大きな組織でもある。真理さんも自分の家もそうだからわかるはず。
 その財閥をこの先引っ張て行くのが、一哉や智哉、良樹なんだ。そこの所だけわかってほしい」

「真理さんこれから苦労することもあると思うわ。でも私達があなた達を守るから」

「これから二人でがんばってくれ」

「はい。ありがとうございます・・・お父様・・お母様・・」こらえていた涙が一気に出た。

「あらあら。美人のお顔が勿体ないわ。泣かないで」と涙を拭いてくれた

「お母様・・」我慢できず泣いてしまった。

落ち着くまで、ずっと背中をさすっていてくれた。
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